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八朔

2014.02.25 01:25|思い出
『和歌山の有田みかんの直売に参っております、一度試食の上、美味しかったら買ってください。ご利用の方は、停まります、車のところまで、ご近所、お誘い、あわせの上、是非買ってください。毎度ありがとうございます。』


小さなころからこの時期になると2tトラックから聞こえるこの放送。


みかんの直売の放送。


ここでは伝えきれないが、このリズムがとても頭に残っており、つい口ずさむ勢いである。


小さなころはわからなかったが、大人になり、トラックのナンバーを見るに『和歌山』ナンバー。


和歌山県民である。


ここから和歌山は結構ある。

ここを狙ってきているのだろうかと疑問が付きまとう。

ここでいいのかと思う。

人もそんなにいるわけじゃない・

小さなころはそんなことは考えもしなかったが、


今日



そんなことばかり考えてしまう。




運転手がおっちゃんなのは小さなころから知っている。


大人になって、和歌山県民であることに気付いたことよりさらに驚いたのが、

上記の放送が生であることだった。


数十年この放送を聴いているのだが、同じ間、同じトーンで

まったく狂いのない放送、てっきりテープを流しているのだと。


しかし、おっちゃんは確実にバスガイドさんが持っているマイク、持ち方も同じ、


その姿に一番驚いた。



なぜ生なんだと。


ぎもんが付きまとったまま、一昨日まできた。


先週はミカンではなく私の好きな『八朔』だった。

放送はこうだ。



『和歌山の八朔、ネーブルの直売に参っております、一度試食の上、美味しかったら買ってください。ご利用の方は、停まります、車のところまで、ご近所、お誘い、あわせの上、是非買ってください。毎度ありがとうございます。』



その放送も少し前のミカンの時と何一つブレのない放送。




八朔が好きな私は、ついに来たかと、お金を握りしめ、停まったであろう場所に足を運ぶ。


停まる場所は知っている。

うちの工場の隣だ。



2tトラックに近づくと運転席からおっちゃんがおりてくる・


『どれにしよ?』


八朔かネーブル。


もちろん八朔だ。


『八朔ください』

というと必ず、買うときは必ず、放送の通り、試食のため、半分、いや、その半分に割られたものを

手渡され、食べてみて~と言って食べながらいくら買うか決めるのである。


『こっちがええやつ、こっちが悪いやつ』


悪いやつというのは見た目が悪いやつだと認識している。


もちろん、良いやつといいたいところだが、私はいつも『量』でいくので


『あ、こっちの悪いやつ』


という。


500円也。


悪いやつとは言ったものの、『量』を頼むが、もちろん味も『良』なのは知っている。



こんなやり取り、バケツに入った味の『良』の『量』の八朔を袋に詰めるおっちゃんに質問してみた。


『おっちゃん、昔からここ来てるやんな?』


と聞くと『おおお!そうやで~』


『そうやんな、昔から放送が同じやから、同じ人が来てると思って。おっちゃん、あれ生なんやな!?びっくりしたわ、ところでここ来るようになって何年くらい?』


って思っていたことを先ほどもらった試食の八朔を食べながら聞いてみた。


『もう長いで、自分ら(私)小っちゃいころからやもんな、もう41年かな~』





!?



予想をはるかに超えていた。

子供のころの記憶から言うと、多くて、多く見積もって30年くらいだと・


しかし、その上を上回る41年。。。。


正直びっくりしたんです。


さっきの会話からわかること、

『自分らが(私)小っちゃいころからやもんな』




小さな工場ではあるが、41年も通えば、35年前にできたうちの工場はいつのまにか覚えているはず。



想像するに、私が小さなころ、母親と一緒に買いに来たことを覚えていた風にしゃべってくれた。

工場から出てくる作業服姿の私を見れば、放送をしながら、ゆっくり工場の横を通り過ぎ、

私がここ十数年、工場にいることもわかっているであろう。



あの子供が大きくなったなぁ


と思わせてくれる発言だった。








思い返せば、小さな頃このトラックが停まれば、そりゃそりゃ近所のおばちゃんたちが集まり、

今では見なくなった青い大きな袋にたくさんのミカンを詰めてもらい、

わずかではあるが人と人とのコミュニケーションがあったはずだ。


近年、そんな姿も少なくなったように思う。



なにか寂しさを感じる。


それでも、おっちゃんは来てるんだ。

誰も来なくても、いつも停まるのは同じ場所。



時間が経つとトラックを発進させあの放送。



次はどこに停まっているのか、それは知らない。



でも、毎年ここに来ている。



そんな事を考えている時におっちゃんが





『次は2週間後に来るから、食べといてな~』



と明るく言った。




色んな気持ちになっていた時にこの言葉をかけられた私は



『おう、わかった、食べとくわ、また買うから』


と言った。



その時、2週間後の八朔を楽しみにしている自分より、


2週間後にここにまた来るおっちゃんに会いたいと思った。



もっともっといろんな話をしてみたいと思った。








おっちゃんが来てくれることを楽しみに、八朔が入った袋を渡され、


『おおきに!』といって帰る私に対し、


『また!』と、おっちゃん。



運転席に乗り込み、車を発進させ、すぐさまあの放送。


『和歌山の八朔、ネーブルの直売に参っております、一度試食の上、美味しかったら買ってください。ご利用の方は、停まります、車のところまで、ご近所、お誘い、あわせの上、是非買ってください。毎度ありがとうございます。』






おっちゃん、待ってるで。




絶対来いよ!




全部食べて待ってるから。




絶対来いよ!





おっちゃんの八朔最高だよ。



















おっちゃんの八朔じゃないとあかんぞ!









おっちゃんじゃないとあかんぞ!!!








絶対来いよ!!!!!


















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かずまっち

Author:かずまっち
鉄工所の2代目である作者『かずまっち』が日々の業務内容などなど、赤裸々に書いています。

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